-Story-
朧峠(おぼろとうげ)。
此処には、人々の記憶がない。
2年前に全て“失われた”からだ。
しかし、ある特定の人物の記憶だけは失われることはなかったという。
“アルター”という力を持つ青年スレイルは、その力によって記憶を失わなかった。
一方で、病院を経営するフロール姉妹もまた、その医学の知識だけを覚えていたという。
――ある日の昼下がり。
今日もまた、エミリアは薬の材料を取りに峠の頂まで向かっていた。
「……待ってください」
聴きなれぬ声に呼び止められたような気がして、エミリアは振り返った。
…誰も、いない?
そう…この出会いが全ての始まりになろうとは…思いもしなかった―――。
宿業はロストパラドクス。
『これは、朧峠で起きる、罪深き過ちの物語。』